33歳女 結婚式で認知症のおばさんのスピーチに感動

私は現在働きながら、1人の子どもを育てる30代女です。

数年前に自身の結婚式をとあるホテルで行いました。

余興のひとつに、招待している方々にランダムにマイクをまわし、コメントをいただくというイベントを行いました。

一人ひとりと、じんわりするコメントを話してくれ、場があたたまり、参加型の結婚式、のような雰囲気になっていきました。

最後にマイクがまわったのは、親戚のおばさんでした。

すでに高齢で認知症がすすんでおり、介助がなければその場にいることも難しかった方です。

マイクがまわった時に、周りの親戚「あっ、やっちゃった…」という雰囲気に。

親戚以外はおばさんの状況を知りません。

私自身も少し焦りがでてきました。

ところが、マイクがわたったおばさんは、すっと立ち上がり、「あら、スピーチ頼まれていたかしら?最近忘れっぽくてごめんなさいね」と言いながら、すらすらと話し始めました。

その様子に周りは驚きます。

なにせ、認知症がすすんだ普段のおばさんの様子では有り得ないことです。

私も驚きながらおばさんの様子をみていました。

そういえばおばさんは、もともと病院で看護師(当時は看護婦)を長く続けてきた方です。

すでに70歳は超えていますが、現役時代は看護師長も務めた方です。

きっとおばさんは、たくさんの同僚、部下に心のこもった祝辞を送ってきたのでしょう。

私のことで覚えていることは少なくても、結婚式の感想をまじえながら、とても素敵なスピーチにまとめてくれました。

スピーチを終えると、会場からは拍手が起こりました。

おばさんの状況を知っている人も、知らない人も、みんながそのスピーチに感動をおぼえていました。

認知症がすすむと、できることが少くなってしまうと思います。

できない姿に周りも慣れて、できることを発揮してもらうことを忘れてしまうのかもしれません。

ただ、人はみな積み上げてきた人生があるのでしょう。

おばさんのスピーチは、おばさんの人生を感じさせてくれる、とても格好よいものでした。

そんなおばさんにスピーチをもらい、私も励みをもらいました。

あんな風に生きたい、そう思えたのです。

そんな思い出深い結婚式となりました。

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